9 手付解除はいつまでならできる?
(1)売買対象物の特定
一筆の土地の一部が売買契約の対象になっている場合は,その特定に注意が要ります。また,売買契約後,代金支払日までに分筆登記をすることを義務付ける規定が必要です。
(2)実測面積での売買か,公簿面積での売買か?
これは登記簿上の面積と実測とが異なる場合に,代金の精算をするのかしないのかということです。
実測売買の場合は,代金の精算をする必要上,売主に確定測量図の作成・交付を義務付け,隣地所有者の協力が得られないなどの理由で確定測量図が交付されない場合は,売買契約は自動的に解除されるなどの規定を置く場合があります。
(3)手付金の授受及びその性格付け
手付金の授受をし,その性格付け規定を設けない場合は,手付は解約手付になります(民法557条)。
違約手付としての性格を付与したい場合は,その旨の規定を置く必要があります。
なお,「手付金には利息を付けない」と書いておかないと,返還義務が生じた場合に遅延損害金(利息)がつきますので,売主にとっては要注意です。
また,手付は「残金の支払時に,売買代金の支払いに充当されるものとする。」などと書かれます。
(4)代金額
土地と建物を一括して売買する場合は,総額のほかに,消費税が課されるもの(建物)と課されないもの(土地)それぞれの価格を書くことが必要です。
(5)各種期日の特定
①残金の支払日
②不動産の上に設定されている抵当権などの負担抹消の時期
③不動産の引渡,所有権移転時期及び所有権移転登記手続の日時
一般には,これらは同一の日にしています。
(6)同時履行の文言
上記(5)の買主と売主双方の義務の履行が,同時になされるべきことが書かれているか否か?
(8)周知の埋蔵文化財包蔵地の売買契約の場合の費用負担条項
これは,すでに解説しました。
(9) 瑕疵担保条項
免責条項や期間を短縮したり,伸長する条項のほかに,瑕疵を限定して,担保責任を負い,それ以外は免責にするること,逆に,瑕疵を限定して免責する場合など,種々あります。
(10)危険負担条項
これは売買代金の決済前に,売買物件の全部又は一部が,不可抗力により滅失したり毀損した場合の危険を,売主と買主のいずれが負うのか?を書く約定のことです。通常は,買主に契約解除権を付与する規定が置かれますが,解除できないという規定が置かれる場合もあります。
(11)収益と費用負担の分岐日
これは売買物件から生ずる家賃収入などの収益と,それから生ずる公租公課(固定資産税及び都市計画税)を,売主と買主に割り振る基準日のことです。一般的には,代金完済の日つまり所有権移転の日を基準に,その日又はその翌日から買主に,その前日までは売主が,収益を受領し費用を負担するような記載になっています。
(12)契約違反による解除条項
これに伴い(a)違約金の支払い条項,(b)違約金以外に損害がある場合の請求の可否に関する条項,(c)売買契約の一部が履行されている場合の原状回復に関する条項などが書かれることになります。
(13)反社会的勢力の排除条項(いわゆる反社条項)
これはすでに解説しました。
(14) 容認事項
これは後日のコラムで解説します。