Mybestpro Members

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

契約書 代表者でもない,幼稚園長の肩書きで契約を結んでもよいか?

菊池捷男

菊池捷男

テーマ:契約書

これは昨日のコラムの応用問題です。

Q 当社は,文具その他の物品の小売業を営んでいますが,このたび甲株式会社の乙支社が経営する丙幼稚園より,丙幼稚園の園児や職員が使う文具その他の物品の継続的売買契約を結ぶように要請を受け,契約書には,甲株式会社の代表取締役社長でも,乙支社長でもない,附属の幼稚園長が記名押印する,ということの了解を求められました。
代表者でもない,幼稚園長の肩書きで契約を結んでも大丈夫でしょうか?
      甲 株式会社
      乙 支社
      丙 支社が作った幼稚園

A 大丈夫です。
 会社法14条1項は,「事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は,当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。」と規定していますので,本件の幼稚園長は,甲株式会社が経営する丙幼稚園の経営に関して,幼稚園の経営上必要な裁判外の行為をする代理人とされますので,大丈夫なのです。
 なお,商行為の代理については,本人のためになすこと(顕名)を表示しなくとも,本人にその効果が帰属するとされています(商法504条)すので,代理人という表示をしていなくとも大丈夫です。
 仮に,幼稚園長に代理権限がない場合であっても,会社法13条は,「会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は,当該本店又は支店の事業に関し,一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。」とも規定しています(表見支配人の規定)ので,大丈夫なのです。
 なお,この場合,一支社の中の附属の幼稚園長という肩書きが「本店又は支店の事業の主任者である」といえるのかどうか疑問を持たれるかもしれませんが,最判昭和39年3月10日は,「本店から離れて独自の営業活動を決定し、対外的にも取引をなしうる地位にあつたと認められる」場合は,会社法13条でいう支店として認定していますので,本件においてもこの判例の射程圏内にあるといえます。
 以上により,相手方の表示として「幼稚園長 某」とすることに問題はありません。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

菊池捷男
専門家

菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

法律相談で悩み解決に導くプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ岡山
  3. 岡山の法律関連
  4. 岡山の遺産相続
  5. 菊池捷男
  6. コラム一覧
  7. 契約書 代表者でもない,幼稚園長の肩書きで契約を結んでもよいか?

菊池捷男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼