Mybestpro Members

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

契約書 契約締結権限は,本人又は代表権をもつ人だけにあるの?

菊池捷男

菊池捷男

テーマ:契約書

いいえ。次の代理人又は表見代理人にも契約締結の権限があります。
1 代理人又は表見代理人
⑴ 支配人
会社の支配人については,会社法10条で,「会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。」とされ,同法11条1項で,「支配人は、会社に代わってその事業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」とされていますので,「その事業に関して」は,契約締結の権限を有します。

⑵ 表見支配人
 会社法13条は,「会社の本店又は支店の事業の主任者であることを示す名称を付した使用人は、当該本店又は支店の事業に関し、一切の裁判外の行為をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。」と規定していますので,支配人ではなくとも,支店長などの肩書きを有する者も,契約を結んだ場合,有効になるのが原則です。

⑶ ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
 会社法14条1項は,「事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人は、当該事項に関する一切の裁判外の行為をする権限を有する。」と規定していますので,この場合の使用人も一定の契約締結権源を有しています。

⑸ 物品の販売等を目的とする店舗の使用人
 会社法15条は,物品の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。以下この条において同じ。)を目的とする店舗の使用人は、その店舗に在る物品の販売等をする権限を有するものとみなす。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。」と規定していますので,その限りで契約締結の権限が認められます。

 なお,会社でない場合であっても,商法20条及び21条は「支配人」について,商法24条によって「表見支配人」について,商法25条によって「ある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人」について,商法26条によって「物品の販売等を目的とする店舗の使用人」について,会社法と同じ規定を置いています。

2 非顕名の場合
なお,これら支配人や使用者は,代理人になるのですが,商法504条により,「商行為の代理人が本人のためにすることを示さないでこれをした場合であっても、その行為は、本人に対してその効力を生ずる。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知らなかったときは、代理人に対して履行の請求をすることを妨げない。」という規定がありますので,彼らが代理人を名乗らなくとも代理権限は否定されません。

リンクをコピーしました

Mybestpro Members

菊池捷男
専門家

菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

菊池捷男プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

法律相談で悩み解決に導くプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ岡山
  3. 岡山の法律関連
  4. 岡山の遺産相続
  5. 菊池捷男
  6. コラム一覧
  7. 契約書 契約締結権限は,本人又は代表権をもつ人だけにあるの?

菊池捷男プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼