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(応用問題)建築条件付き売買契約の解除のできる時期

菊池捷男

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テーマ:不動産法(売買編まとめ)

Q 私は,A社との間に,①売買契約の履行後,3か月以内に,A社と建物建築請負契約を結ぶこと,➁もし,建物建築請負契約が結ばれなかった場合は,私もA社も,土地売買契約を解除することができる,という,2つの条件の付いた土地売買契約を結び,売買代金を全額支払ったので,A社から土地につき所有権移転登記をしてもらいました。
しかしながら,私は,A社と建物建築請負契約をする段階になって,A社の建物では満足できず,A社を止めにして,B社と建物建築請負契約を結びました。
すると,A社から,土地売買契約を解除するといってきましたが,売買契約を決済する前ならば,手付金を返してもらって売買契約を解除されることは理解できますが,売買代金を支払い,土地の所有権移転登記までしているのに,売買契約を解除することはできるものでしょうか?

A 
 A社の言い分は,売買契約書に書かれたとおりのことを言うものであって,土地売買契約の解除が無効になる理由はないと思います。
 不動産の表示に関する公正競争規約第6条1号ウ(平成15年1月14日公正取引委員会告示第2号)に定める内容,すなわち,「建築条件が成就しない場合においては、土地売買契約は、解除され、かつ、土地購入者から受領した金銭は、名目のいかんにかかわらず、すべて遅滞なく返還する旨」の契約内容については,名古屋高等裁判所平成15年2月5日判決もいうように,「独占禁止法に抵触しないために顧客を保護する重要な意義を有する」内容ですから,無効にすべき理由はないと思えます。
 なお,あなたのケースでは,売買代金を支払い,土地の所有権移転登記を受けた後の解除のようですが,売買契約書には,土地売買契約の履行後は解除できないと定めているわけではなく,むしろ売買の決済後3か月以内に,建物建築請負契約が締結されないときに,土地売買契約を解除できると書いてあるのですから,解除は可能であると考えられます。
 あなたは,売買契約を決済する前に,よくA社と打合せ,A社に建築を請け負わせるかどうかを決めることができたのですから,それをしないで,売買契約の決済をしたことを,A社に不利になる,A社からの解除はできないという理由とするのは,理解されないのではないでしょうか?

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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