33 公租公課の負担割合を定める条項
1 地図
不動産登記法14条1項は、「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。」と定めていますが、地図は、登記簿だけでは土地の区画や位置が明確ではないので、登記簿を補完して各筆の土地の区画及び地番を明確にするために作成されるものです。
この14条1項地図は、自然災害があったときでも宅地造成など人工的な区画形質の変更があったときでも、現地で境界が復元できるだけの「現地復元性」が要求されております。
地図は,現時点では,そのすべてが作成されているわけではありません。
国土調査法に基づき国土調査がなされた土地については、国土調査の成果としての地籍図、土地改良法に基づく換地処分により創設された土地については、換地処分後の土地の所在図,土地区画整理法に基づく換地処分により創設された土地については,換地処分後の土地の所在図が,14条1項地図として法務局に備え付けられています。
2 地図に準ずる図面(公図)
国土調査もされず、区画整理等もされていない土地のほとんどは、14条1項地図ができておりません。
そのため、不動産登記法14条4項は、「第1項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。」と定めており,公図が「地図に準ずる図面」として扱われております。
3 地図と公図の違い
地図と公図の違いは,現地復元性の有無にあります。地図には現地復元性がありますが、公図にはありません。
しかし,公図にも一定の効果はあります。すなわち,東京地裁昭49・6・24判は,「公図は土地台帳の附属地図で、区割と地番を明らかにするために作成されたものであるから、面積の測定については必ずしも正確に現地の面積を反映しているとはいえないが,境界が直線であるか否か、あるいはいかなる線でどの方向に画されるかというような地形的なものは比較的重要なものということができるから、境界確定に当たって重要な資料と考えられる」旨判示し、公図に一定の証明力を認めています。
なお,2007年3月8日の新聞報道によれば,国交省がした、東京、大阪など全国38カ市区の人口集中地域を対象にした調査で、計32,900枚の公図のうち、61.1%に実際の境界と公図上の境界に1m以上のズレがあった、このうち3.6%はずれが10m以上もあった、またズレが10cm未満の公図は4.3%にすぎなかったことが判明した模様です。
4 地図混乱地域
地図混乱地域というのは,正しくは,公図混乱地域のことで,公図と実際の土地の位置や形状が大きく異なっている地域のことをいいます。登記簿には存在するが,公図には載っていない土地がある地域,地番は一定の手順で付けられるものなので,1番の次は2番になり,その次は3番になるものですが,1番の次に10番がき,10番の次に5番がくるなど,連続性を欠いている地域などがあります。