(補説) 隣家の住人が難しい人や怖い人であれば,これも瑕疵
中古マンションに限らず,一定期間使用してきた物は,いわゆる経年劣化,自然劣化,陳腐化などという言葉で表されるような,時間の経過又は使用の頻度による劣化という現象から逃れることはできません。
したがって,中古マンションや中古住宅を購入した場合に,雨漏りがある場合,原則として隠れた瑕疵というべきものですが,予見のできるような経年劣化からくる雨漏りなら,瑕疵とはいえないものと思われます。
要は,ケースバイケースで考えることになるのでしょう。
肯定例として,東京地裁平成10.5.13判決は,Aが、金融機関の勧めで、そこから融資を受けて、代金6億数千万円で、築後3年の中古マンションを購入したが,そのマンションは売買契約の前から再三雨漏りをし、応急措置を繰り返し、雨漏りの原因は不明というものであったことを,売主、仲介業者のみならず金融機関の不法行為も知っていて,甲に売買を勧めたものであることを理由に,これら三者の損害賠償義務を認めました。
否定例として,東京地裁平成19.5.29判決は、中古マンションの専有部分の雨漏りの原因は不明という事案。考えられる原因は,内装業者等による共用部分の防水工事が不十分さや、建物の経年劣化によるものであること、記録的な台風の影響によるものであることが考えることができ、建物自体に雨漏りを生じさせる構造上の欠陥があったとは言えない、との理由で、買主からの請求を棄却しました。