(補説) 隣家の住人が難しい人や怖い人であれば,これも瑕疵
(1)瑕疵+売主の故意又は過失=不法行為責任
瑕疵があれば,売主に瑕疵担保責任が生じますが,これに売主の故意又は過失があるときは,不法行為責任が発生します
(2)損害賠償の範囲は広い
不法行為責任の範囲は,瑕疵担保責任が及ぶ範囲を超えて,逸失利益や慰謝料,弁護士費用にまで広がります。転売目的で買い受けた不動産の転売で得られる利益(「逸失利益」といいます。)や慰謝料,それに訴訟をする場合の弁護士費用も,損害賠償の対象になるのです。
京都地裁平成19年10月18日判決は,建売住宅の建築販売業者が販売した建物の多くに、売却後間もないころから傾きやひび割れ等が発生したことは「隠れた瑕疵」になるが,これは業者が適切な地盤対策を講じなかったこと過失によるものであり不法行為が成立する。また,これに加えて,京都市によって実施された排水路改良工事によって、上記各建物の傾き、ひび割れ等の程度が拡大したこと等については,京都市が必要な地盤調査を怠ったうえ適切な工法を採用しなかったことが原因であるとし、両者の共同不法行為責任を認め,建物をジャッキアップして地盤改良をし,建物を補修する費用や工事期間中の住居費用など,信頼利益のほかに,慰謝料及び弁護士費用も認めています。
(3)期間も長い
不法行為責任を追及できる期間も,瑕疵担保責任期間よりも長く,不法行為を知った時から3年,不法行為の時から20年です。