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18 売主の責任2 債務不履行責任

菊池捷男

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テーマ:不動産法(売買編まとめ)

(1)債務不履行というのは,契約上の債務を履行していないこと
ア 不動産の売買契約の売主についていえば,買主が代金の支払いをする意思で現金を用意してきているのに,不動産の引渡しや所有権移転登記手続をしない場合,売買の決済までに抵当権の抹消登記手続をしておく約束なのに,売買決済に日に至ってもそれができない状況にあるなどが,債務不履行になります。
イ 瑕疵がある不動産を売ることも,債務不履行になる
 福岡地裁平成3年12月26日判決は、騒音の激しい地域に位置する新築マンションの分譲に当たって、遮音性および気密性に優れた高性能防音サッシの使用をうたいながら、実際には遮音性能の不十分なサッシを使用したため、窓を閉めても近くの鉄道線路を通過する列車と踏切警報機の騒音に悩まされ、睡眠妨害等の被害が認められる場合、これらは「隠れた瑕疵」になるので売主には瑕疵担保瀬金が認められるが,同時にこのようなマンションを販売した会社には債務不履行の責任が生ずるとし,財産的な損害額の立証ができていないことを理由に,それに代えて慰謝料の支払いを命じています。

(2)債務不履行責任期間
一般民事で10年,商取引で5年ですが,平成28年に改正が予定されている民法改正案では,すべて5年になる見込みです。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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