マンション⑫ 区分所有権売渡請求権
1 区分所有者は,法律上,当然に区分所有法上の「団体」の構成員
区分所有法3条は,「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。」と規定しています。
この規定により,区分所有者は,好むと好まざるにかかわらず,全区分所有者からなる「団体」の構成員になっているのです。
2 「団体」とは,管理組合又は管理組合法人のこと
区分所有法3条でいう「団体」とは,「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体」のことです。この団体は,何もしなければ,抽象的な存在のままですが,通常,目的を同じくする管理組合又は管理組合法人が,この「団体」になります。
3 管理者制度
マンション(一棟の建物)の管理のため,管理者制度が設けられています。
これは,必須の機関ではありませんが,区分所有法3条は,「団体」は,集会を開き、規約を定め(変更を含む。)、及び管理者を置くことができる,と定めているのです。
管理者は,実質的には,「団体」の「事務執行者,かつ代表者として位置づけられ」ます(新版注釈民法(7)683頁)。
管理者は,区分所有者であるとその他の者であると,個人であると法人であるとを問いません。
マンション標準管理規約(平成16年1月23日国土交通省発表)においては,役員である理事長が「団体」の管理者の地位に立つものと規定されていますが,明文の規定を置かない「団体」であっても,管理組合の業務執行者として代表権が付与されている役員(多くの場合理事長)は,特段の事情がない限り,「管理者」の地位に立つ者と解されます(東京地裁平成2.5.31判決)。
なお,マンション標準管理規約は,平成23年7月27日,マンションに関する法制度の改正やマンションを取り巻く情勢の変化等に対応して見直しがなされています。その内容は後日のコラムでいたします。