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示談書の書き方 建物明渡猶予期限の設定と明渡し時期

菊池捷男

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テーマ:契約書

1 甲と乙は,別紙目録記載の建物(以下「本件建物」という。)についての本件賃貸借契約を,本日合意解除する。
2 甲は,乙に対し,本件建物の明渡しを平成**年11月30日まで猶予する。
3 乙は,甲に対し,前項の期日の翌日(平成**年12月1日)限り,本件建物を明け渡す。

なお,1項は,2項の明渡猶予約束をする前提になる,賃貸借の権限のないことを明らかにするための「合意解除条項」であるが,事案によっては,
(解除による契約終了確認条項)
1 乙は,甲に対し,別紙目録記載の建物(以下「本件建物」という。)についての本件賃貸借契約が,平成**年7月10日,乙の賃料不払いによる解除により終了したことを確認する。
(無権限占有確認条項)
1 乙は,甲に対し,別紙目録記載の建物(以下「本件建物」という。)を権限なく占有していることを認める。
などを定める場合もあるであろう。

注意①:
明渡義務が発生するのは,明渡猶予期限の翌日であるので,11月30日までに明渡しを受けたいと思う場合は,明渡猶予期限を11月29日にしなければならい。
注意➁:
動詞は,「明け渡す」,名詞は「明渡し」になるのは,「公用文における漢字使用等について」(平成22年11月30日付内閣訓令第1号)の(別紙)2「送り仮名の付け方について」(1)ただし書による。
参照:
「公用文における漢字使用等について」((別紙)
2 送り仮名の付け方について
(1) 公用文における送り仮名の付け方は,原則として,「送り仮名の付け方」(昭和48 年内閣告示第2号)の本文の通則1から通則6までの「本則」・「例外」,通則7及び「付表の語」(1のなお書きを除く。)によるものとする。
 ただし,複合の語(「送り仮名の付け方」の本文の通則7を適用する語を除く。)のうち,活用のない語であって読み間違えるおそれのない語については,「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」を適用して送り仮名を省くものとする。
 なお,これに該当する語は,次のとおりとする。
       明渡し 預り金 言渡し ・・・(以下略)・・・

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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