コラム
民法雑学 廃道の時効取得
2015年3月2日 公開 / 2016年3月15日更新
Q 当社は20数年前に土地を購入し,当該土地を社用地として使用していますが,その中に赤線道があるという指摘を受け調べてみましたところ,赤線道があることが分かりました。当社はこの土地を時効取得していますか?
A
1,里道
貴社のいう赤線道というのは,道路法による道路に認定されていない道路(認定外道路)のうち,公図上赤い帯状の線で表示されている里道のことと思われます。里道は,法定外公共物にあたり,現在ではその大部分が市町村等に譲与されています(寶金敏明「4訂版里道・水路・海浜-長狭物の所有と管理-」)。
2,法定外公共物の時効取得について
最高裁昭和51年12月24日判決では,公図上水路として表示されている国有地について,①公共用財産が,長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され,②公共用財産としての形態,機能を全く喪失し,③その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが,そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく,④もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には,右公共用財産については,黙示的に公用が廃止されたものとして,これについて取得時効の成立を妨げない,と判断しています。
また,最高裁は,里道について昭和52年4月28日判決において,上記判決と同様の判断を行い,里道の時効取得を認めています。
①「長年の間」については,占有を開始した時点で,公共用財産が管理されることなく放置された期間がどの程度あるかが問題となりますが,6年間管理を放置した事案において,黙示の公用廃止を認めるに十分であると判断している裁判例もあります(大阪高裁平成17年9月7日判決)。
貴社の場合,20年以上も所有の意思をもって平穏公然と,その里道(廃道)を占有しているようですので,時効取得しているものと考えられます。
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