コラム
遺産分割① 遺産分割の対象になる財産
2015年2月6日
遺産分割の対象になる財産は,相続開始時及び遺産分割時に存在する財産で,かつ,未分割の財産(積極財産=遺産)をいいます。
1,相続開始時に存在した財産であること
ですから,①被相続人の死亡直前に,被相続人に無断で処分された財産は,遺産分割の対象にはなりません。➁遺産である不動産から生じた地代や家賃など法定果実も,遺産分割の対象にはなりません。この果実は,各相続人が,相続分に応じて取得することになります。遺産分割で当該不動産を取得した相続人のものになるのではありません(最判平成17.9.8)③受取人が指定された生命保険金も受取人固有の財産ですので,遺産分割の対象にはなりません(最判平成14.11.5)。
2,遺産分割時にもある財産であること
ですから,相続開始時にあった財産でも,その後処分されたものは,遺産分割の対象にはなりません(東京家裁審判昭和44.2.24)。
3,未分割の財産であること
ですから,①預貯金などの金銭債権は,可分債権(分割可能な債権)として,相続開始と同時に相続人に相続分に応じて分割されて帰属しているため,遺産分割の対象にはなりません。ただし,相続人全員が合意すれば,遺産分割の対象にすることは可能です。
また,➁特定の財産を特定の相続人に「相続させる」と書かれた遺言書における当該財産は,平成3年判例により,「遺産の分割の方法を定めた遺言であり、他の共同相続人も右の遺言に拘束され、これと異なる遺産分割の協議、さらには審判もなし得ないのであるから、」遺産分割の対象にはなりません。
4,一部の相続人が遺産分割前に相続登記(全相続人に法定相続分どおりの相続登記)手続をした財産は,遺産分割の対象になります(最判昭和62.9.4)。
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