契約書知識 15 契約書の記載事項(2)
改正民法の下では「危険負担」という言葉も使わなくなり,現行の534条及び536条は削除されることになています。
それに代わり,民法536条が改正され,反対給付の履行拒絶権が認められることになります。
すなわち,改正後の民法536条は次のようになる見込みです。
第536条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
したがって,契約書も,従来の
(危険負担)
第○○条 ・・・・
に変えて
(反対給付の履行拒絶)
第○○条・・・・・
と書くべきことになります。
なお,改正民法536条1項の「反対給付の履行を拒むことができる」との文言は,反対給付義務,すなわち売買代金支払義務が消滅するという意味ではなく,代金債務は消滅しないが,代金支払い拒絶権がある,という意味になります。