自治体のする契約 2 私法上の契約と公法上の契約
1,自治体が有する金銭債権の分類
地方自治法でいう「債権」とは,金銭債権のことです(地自法240条1項)。その債権は,次のように分類されます。
(1)公法上の債権(公債権)
①強制徴収公債権・・・国税徴収法の例による滞納処分ができる債権(自力執行可能)
(例)税金,国民健康保険料,下水道料金,保育所保育料など
➁非強制徴収債権・・・民事訴訟,民事執行法による回収しかできない債権
(例)生活保護返還債権,児童手当過誤払返還金債権
(2)私法上の債権(私債権)・・・民事訴訟,民事執行法が適用
(例)公営住宅の使用料,水道料金,学校給食費
2,強制徴収公債権の特徴
(1)自力執行権があること・・・法令の根拠規定があるので,それで分かる。
(2)財産調査権があること・・・(国税徴収法141条)
(3)時効期間・・・5年間又は2年間
(4)時効の援用は不要・・・時効期間が満了すると自然消滅(地税18・自治236)
3,私債権の特徴
(1)自力執行権はない・・・民事訴訟法,民事執行法により権利を行使するほかない。
(2)財産調査権はない・・・民事訴訟法の中で文書提出命令の申立などをする。
(3)時効期間・・・・・・・1年間から10年間まで
(4)時効の援用は必要