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契約書 略表示の落とし穴

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テーマ:契約書

契約書では,当事者名など,繰り返し書かねばならない事柄を,甲とか乙と略表示をする場合がありますが,複数の当事者を,甲とか乙というような,単数を表す略表示で表示してはなりません。

例えば,
金銭消費貸借契約書の前文で,
「凸山太郎,凸山花子(以下2人を総称して「甲」という。)及び凹川波男(以下「乙」という。)とは,次のとおり,金銭消費貸借契約を結ぶ。」
と書き,
本文で,
「第○○条 甲は,乙に対し,平成26年12月25日に1000万円を支払う。」と書くと,
これは,「第○○条 凸山太郎と凸山花子は,凹川波男に対し,平成26年12月25日に1000万円を支払う。」という文ですので,その意味するところは,「凸山太郎と凸山花子は,それぞれ,凹川波男に500万円を支払う。」ということになるのです。

恐らく,このような複数の当事者を,単数の当事者のための略表示を使って表示する人の意図は,
「凸山太郎と凸山花子は,連帯して,凹川波男に1000万円を支払う。」と書きたかったのだろうと想像されますが,そのような場合は,前文で,
「凸山太郎(以下「甲」という。),凸山花子(以下「乙」という。)及び凹川波男(以下「丙」という。)とは,次のとおり,金銭消費貸借契約を結ぶ。」と書き,本文で,
「第○○条 甲と乙は,連帯して,丙に対し,平成26年12月25日に1000万円を支払う。」と書かなければなりません。

略表示は,表示を簡略にしただけのものです。
複数の当事者を単数の表示にしたことで,複数の人に連帯責任が生ずるものではありません。
連帯債務や連帯責任は,「連帯して支払う。」と書かねば生じないのです。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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