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クイーン・エリザベス号乗船記③ 寄港地 

菊池捷男

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テーマ:その他

今回の船旅の初日9月26日は、ローマの外港チヴィタヴェッキアで乗船しました。
チヴィタヴェッキアは、イタリア半島の中央部西海岸にある、古代から栄えた港町です。2世紀の初めにトラヤヌス帝によって港として整備され発展してきた町です。1615年には、我が国の慶長遣欧使節団(会津藩支倉常長が引率)がこの港に上陸しています。この縁があって、チヴィタヴェッキアには、支倉常長の銅像が建立されております。

翌日の9月27日、クイーン・エリザベス号は、終日、ひたすらイタリア半島西海岸にそって北上し、翌々日の28日、イタリアのリボルノに寄港しました。
リヴォルノは、ヴェネツィアほどではありませんが、運河が発達し、要塞化した市壁に囲まれた、古い歴史のある町ですが、現在は、かつてほどの繁栄は薄れている模様です。そこからは、異観ともいうべきピサの斜塔に近く、私たちも、ピサの斜塔を観光してきました。





その翌29日は、モナコ公国の首都モンテカルロに寄港しました。
モナコ公国は、バチカン市国に次ぐ世界で2番目に小さい国(人口は4万人足らず、面積は2.02km²)で、山が海に落ち込む急峻な傾斜面に、国のすべてであり首都でもあるモンテカルロが、人工的に造られたという感じの町として存在しています。F1レースやヨットレースで有名な、美しい国です。国は小さいのですが、1人当たり国民総所得は世界のトップクラスで、個人居住者には所得税は課せられていません。また、タックス・ヘイヴンの国であることから、モナコ国外から収入を得ている富裕者の多くがこの国にやってきているということで、たいへん裕福な国でもあります。カジノで有名な町でもあります。海から、モナコを見ますと、背後の山はフランス領、右手の半島はイタリアという具合に、まことに小さく可愛い国です。大公宮殿は多くの美術品に飾られ、フランスのヴェルサイユ宮殿の内部に劣らぬほどの立派なものでした。ハリウッドの映画スターであったグレースケリー王妃が結婚式を挙げ、また、その墓のある大聖堂も立派なものでした。







翌30日は、フランスの南端、イタリア国境に接したプロバンス地方の、軍港で有名な、そして軍艦が多く係留されたツーロンに寄港しました。ツーロンは、ビクトル・ユゴーのレ・ミゼラブルの主人公ジャン・バルジャンが、飢えた姪に食べさせようとしてパンを1個盗んだことで服役した刑務所のある町です。ここから、エクサンプロバンスにあるセザンヌのアトリエや、セザンヌが長年にわたって描き続けたサント・ヴィクトワール山の、その描き続けた場所や、歌(シャンソン)に歌われたミラボー通りへ観光に行きました。なお、パリのシャンゼリゼ通りは、このミラボー通りを模倣して造られたのだとの説明を受けました。

翌10月1日は、スペインのバルセロナに寄港しました。バルセロナは,スペインの東南の位置し,フランスに近く,スペインで最も繁華な街ともいわれますが,この街の歴史も古く,紀元前20年ごろローマ人の植民都市からスタートしている模様です。5世紀には西ゴート王国の首都になり,8世紀初頭にイスラム勢力によって征服され,9世紀には、カール大帝治世のフランク王国によりスペイン辺境領に組み込まれ,10世紀末独立し、11世紀にはバルセロナ伯爵領を中心とするカタルーニャ君主国を確立させ,12世紀には,アラゴン連合王国を構成する一勢力として、海外領土を求めて拡大し、バルセロナからアテネに至る地中海を支配するまでの勢力となったものの,その後歴史の治乱興亡の中で衰退し,しかし,19世紀に入って産業革命が起こり、市域の拡張がなされ,文化や経済が発展し,今日に至った,歴史のある美しい街です。
ここでは,世界遺産ガウディの作品群、聖家族教会などを観光したものです。

10月2日、クイーン・エリザベス号は、向きを東に変えて、終日、地中海をクルーズし、翌3日、チヴィタヴェッキアへ帰港し、地中海クルーズの旅が終わりました。

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