自治体のする契約 2 私法上の契約と公法上の契約
Q
今般,農地の「一時的な利用に供するため農地を農地以外のもの」にする許可(農地法4条2項ただし書及び同法5条2項ただし書並びに農地法施行令7条及び10条)をしたところ,地権者は,農地を非農地に変えた後,登記上その土地の地目を雑種地に変えてしまいました。地目変更登記がなされた後は,原状回復を求めることはできなくなるのですか?
A
いいえ。そのようなことはありません。
農地から非農地への変更登記手続は,土地の所有者からできますが,昭和56年8月28日 56構改B第1345号最終改正 平成21年12月11日 21農振第1611号 構造改善局長から都道府県知事あて通達 によりますと,地目の変更は,土地の客観的な利用状況を見て登記官が判断することになっております。
その土地の状況ですが,単に盛土・整地をしただけでは,土地が容易に農地へ復元できる状況ですので,まだ雑種地として変更登記はできませんが,土地が「現に特定の利用目的に供されている」か,又は「近い将来特定の利用目的に供されることが確実に見込まれるとき」で,土地が容易に農地へ復元できる状況ではなくなっている段階に至っておれば,雑種地への地目の変更が認められることになります。
ところで,この通達は,農地の一時転用の場合は,地目の変更はできないとは定めていません。
したがって,農地の一時転用許可を得て非農地にしたときに,その土地の状況が,登記官からみて雑種地と認定されると,地目変更登記手続がなされる可能性はあります。今回の登記手続もそれによってなされたものと思われます。
しかしながら,あなたの場合,土地の地目の変更はできていても,それが一時的な利用を許可した後の地目変更ですので,当然,許可期間が経過した後は農地に原状回復することを命ずることは可能です。
地目変更が,他の行政庁の処分に影響を与えることはあrません。