新しい契約書案 改正民法に合わせて①「瑕疵」という言葉は使わない
(期限の利益喪失・契約解除)
第9条 乙が次の各号の一に該当した場合,なんらの催告を要することかく,乙の甲に対する債務は当然に期限の利益を失い,乙はその全額を直ちに甲に対し支払わねばならず,また,甲は催告なくして本契約若しくは個別売買契約の全部又は一部を解除することができる。
①本契約又は個別売買契約の一に違反した場合
②支払停止,支払不能に陥った場合
③自ら振り出し又は裏書きした手形・小切手が一回でも不渡になった場合
④差押、仮差押、仮処分、競売、租税滞納処分の申立を受けた場合
⑤破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の申立を受け、又は自ら申立をしたとき
⑥解散,営業の全部又は重要な部分の譲渡決議をした場合
⑦営業を廃止した場合
⑧監督官庁より営業停止命令を受け,又は営業に必要な許認可の取消処分を受けた場合
⑨株主構成,役員の変動により会社の実質的支配関係が変化し,従前の会社との同一性が失われた場合
⑩その他前各号に準じる事由が生じ,乙の信用状態が悪化したと甲が認めた場合
解説
前記④の事由に関して。
判例は古くから、買主に会社更生手続の申立の原因になる事由が生じたことを売買契約の解除事由とする旨の特約は、会社の維持更生を図ろうとする会社更生手続きの趣旨・目的を害するものであるから、無効であると判示していました(最判昭57.3.30)が、平成20年12月16日には、民事再生手続開始の申立についても、解除事由とすることは無効になると判示しました。しかし,前記最判平20.12.16の田原睦夫裁判官の補足意見や、東京地判平14.3.14は、倒産手続開始の申立を期限の利益喪失約款とすることは有効だと判示しています。