遺言執行者④ 相続財産目録調整義務続き➁
Q 先日,父が亡くなり,相続人4名で遺産分割協議に入りましたが,冒頭から,相続財産の評価額について争いが生じました。
遺産分割時における相続財産の評価には,決まりのようなものがあるのですか?
それがない場合は,どのように評価をするべきでしょうか?
A
遺産分割時における相続財産の評価額を算出できるような基準というものはありません。
相続税額算出のための評価方法はありますが,これは,相続税額の早期確定という目的のためにあるもので,遺産分割の際に,その評価額で遺産分割をすることを,全相続人に強制することはできません。
遺産分割時の相続財産の評価方法としては,
① 全相続人が,合意の上で,相続財産評価の基準又は相続財産額そのものを決める方法
➁ 家庭裁判所へ遺産分割の調停を申立て,裁判所を通じて,専門家に鑑定してもらう方法
があるだけです。
以上2つの方法のうち,➁の方法は,時間と費用がかかりますので,①の方法,すなわち全相続人の合意で相続財産額を確定する方法を模索するべきでしょう。
それには,特に問題点が指摘されない限り,客観的に計算のできる相続税の評価額(不動産や上場株式,非上場株式その他の金融資産の評価は簡単に算出できる)による方法がよいでしょう。