間違えやすい法令用語 28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」
強迫は民法上の用語,脅迫は刑法上の用語
強迫も脅迫も,他人を畏怖させるための害悪の告知をいいますが,
強迫は,民法96条1項で「強迫によりなされた意思表示は取り消すことができる。」と規定しているように,他人に畏怖を与え,その畏怖によって何らかの意思表示をさせるための害悪の告知をいいます。
一方,脅迫は,他人に畏怖を与える点では同じですが,その畏怖によって何らかの意思表示をさせることまでは予定しているわけではありません。畏怖する行為自体を処罰の対象にしているのです。
このように,同じ畏怖を与える害悪の告知ですが,民事上の意味や効果と刑事上の意味や効果の違いから,民事における害悪の告知を強迫と書き,刑事における害悪の告知を脅迫と書きます。
なお,強迫に似た言葉に「恐喝」があります。これは,他人を畏怖させて,その畏怖した他人から財物を交付させ,又は,不法の利益を提供させる行為で,犯罪になりますが,畏怖させた他人に財物を提供させたり不法の利益を提供させることは,その他人に意思表示をさせることですから,民法の強迫になります。