契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
(4)契約日の書き方
契約日は、実際に契約した日を書くべきです。
実務では、すでに契約が開始した後で、日を置いて契約書を取り交わす場合(例えば4月1日から取引が開始したが、その日までに契約書を取り交わさず、5月1日になって契約書を取り交わす場合)があり、その場合は、契約日を、過去に遡らせて、取引が始まった日を契約日として表記することが多いのですが(5月1日に契約書を取り交わすが、契約日を4月1日にするようなこと)、これは、法令の施行日を法令の適用開始日にする過ち(詳しくは、別のコラム参照)と同じ過ちを犯しています。
契約日は正しく契約をした日にすべきです。
契約の効力を過去に遡らせたいときは、契約書の本文中に、「第〇条 本契約は、平成〇〇年〇〇月〇〇日の取引から適用する。」としておけばよいのです。
契約日を、実際に契約をした日とは異なる日にすると、取引開始日(例えば4月1日)から契約日(例えば5月1日)までの間に代表者が交代したような場合、契約書の記名押印については新しい代表者に権限があるのに、退任した代表者の名前で記名押印せざるを得ない等の問題が生じ、しかも前任の代表者の同意を得ないで、その代表者の記名押印をすると、有印私文書偽造・同行使という犯罪問題にも発展しかねない問題や、契約締結権限の有無の争いから発展して契約書の有効性までが争われるなど、無用な紛争を起こしかねません。
契約日は、実際に契約書を取り交わした日にすべきです。
(5)当事者の署名又は記名押印
会社の場合は、例えば、
凸山機械株式会社
代表取締役 凸山太郎 〇印
とすべきです。ただ、特定の役員又は従業員に契約締結の代理権を与えておく必要があるときは、その者を代理人として、例えば、
凸山機械株式会社
代表取締役 凸山太郎
代理人 取締役営業部長 凹川次郎
という表示で契約書に記名捺印するとよいでしょう。ただし、この場合は、委任状を相手方に交付する必要があります。