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契約書知識 14 契約書に契約の動機を書いておくことの重要性(最高裁平8.11.12判決)

菊池捷男

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テーマ:契約書

1,事案
 最高裁平8.11.12判決の事案は、リゾートマンション1室を購入した買主が、その売買契約と同時に、同マンション内に設置が予定されていた屋内プールを含むスポーツ施設を利用する会員契約を結んだのですが、室内プールなどが予定された時期に完成していないため、売買契約を結んだ目的が達成できないとして、マンションの売買契約及び会員権契約を解除した事案です。

2,原審判決
原審の高裁判決は、①マンションの売買契約と会員契約とは別個の契約であること、②買主が屋内プール等のスポーツ施設を利用することがその重要な動機となってマンションを購入したことがうかがわれないではないが、そのことは本件売買契約において何ら表示されていなかったこと、を理由に、屋内プール等の完成の遅延が本件会員契約上の債務不履行に当たるとしても、買主がマンションの売買契約を解除することはできない、と判示しました。

3,最判は、詳細な事実関係を指摘しつつ、「同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった二個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて,社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができるものと解するのが相当である。」と判示して、買主からの契約解除を認めました。

4,ここから学べること
契約書に契約の動機を書いておくことは需要です。
もしこの事案で、契約書に動機又は特約事項として、「室内プール、テニスコートなどの施設の利用ができること」と書いておれば、原審でも、かんたんに勝訴したものと思われます。


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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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