契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
企業が、他の企業との間に、業務委託契約の名の下で、請負契約を結び、業務の一部を外部委託(いわゆるアウトソーシング)することが増えていますが、注意すべきは、労働者派遣契約にすべき内容が、業務委託契約の名の下で結ばれている場合があることです。
これは、会社(甲)の業務の一部を、より専門性の高い別の会社(乙)の従業員にしてもらうことを目的に、甲と乙との間で、業務委託契約を結んで、乙の従業員を甲社に派遣してもらい、甲が乙の従業員を直接指揮監督して甲の業務を行わせる場合です。
この契約は、名称が業務委託契約であっても、その内実が、「自己(乙)の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人(甲)の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」という労働者派遣の定義(労働者派遣法2条1号)に該当しますので、労働者派遣契約になるのです。
このような労働者派遣は、多くの場合、派遣元の会社(乙)が常時雇用している労働者を派遣していると思えますが、その場合は、特定労働者派遣事業の届出が必要(それ以外の労働者を派遣する場合は、一般労働者派遣事業の許可が必要)になります。
届出をしないで、又は、許可を受けないで、労働者派遣事業をすると罰則の適用を受けることになります。
無意識のうちに、違法な労働者派遣をしている場合がありますので、注意が必要です。