契約書 賃貸借契約で「公租公課は貸主が負担する。」との約定の意味
1,意味
営業秘密とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」(不正競争防止法2条6項)をいいますので、営業秘密であることの要件は、①秘密であることの実体を備えていること、②秘密として管理されていることの2つですが、秘密管理性については(ア)当該情報にアクセス制限が設けられていること、(イ)アクセス制限があることが客観的に認識できることの2つの要件が必要です。
2,秘密保持契約の有効性
大阪地方裁判所平成25年9月27日判決は、
①従業員の退職後の秘密保持義務を定める特約は,営業秘密等の情報の漏洩等を制約するものにとどまるから,競業避止義務を定める特約に比較すれば,従業員の職業選択の自由や営業の自由に対する制約の程度は緩やかなものということができる。
②しかし,秘密保持特約において定められた営業秘密等の範囲が不明確で過度に広範であったり,そもそも営業秘密等として保護する必要がなかったりするような場合には,当該特約は従業員の職業選択の自由や営業の自由を不当に侵害するものとなり得るものである。
③そうすると,秘密保持特約は,対象とする営業秘密等の特定性や範囲,秘密として保護する価値の有無及び程度,退職者の従前の地位等の事情を総合考慮し,その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合には,公序良俗に違反し無効となるものと解するのが相当である。
との基準を明らかにした上で、
①「業務上知り得た貴グループ及び顧客・業務内容全般に関する情報」「業務上知り得た会社及び取引先の情報」「顧客との取り引きの存在や内容」というだけでは、営業秘密等が十分に特定されておらず,範囲も無限定なものとなっており,退職者の職業選択の自由や営業の自由を過度に制約するものといわざるを得ない。
②原告の取引先や取引価格に関する情報は同業他社も容易に入手可能なものであって,秘密として保護する必要性が高いとはいえない。
③したがって、本件秘密保持特約に基づく秘密保持義務を課す必要性が高かったとはいえない。
④これらの事情を総合考慮すれば,本件秘密保持特約は,その制限が必要かつ合理的な範囲を超えるものであって,公序良俗に違反し無効であるというべきである、と判示しました。
実務に見られる秘密保持契約の多くは、前記営業秘密の要件を無視したものになっていますので、真に保護したい秘密を具体的に特定すること及び侵害の懸念を具体的に表現することが大切です。