契約書 賃貸借契約で「公租公課は貸主が負担する。」との約定の意味
1,意味
競業とは、競争的な営業のこと、競業避止契約とは、競争になる営業をしないこと、又は、競争会社の役員や従業員にならないことを約束することです。
2,法律上競業避止義務がある場合
(1)営業(又は事業)譲渡の場合
商法16条1項及び会社法21条は、営業を譲渡した者(会社法では「事業譲渡した会社」)は、営業(又は事業)を譲渡した日から20年間は、同一の市町村(東京都や政令指定都市の場合は区)内で、同一の営業(又は事業)を行ってはならない、と規定しています(特約があれば30年間の競業禁止も有効)。
(2)支配人の場合
商法23条1項及び会社法12条は、支配人に対し、「商人の営業の部類に属する取引」をすることを禁じています。
(3)代理商の場合
商法28条及び会社法17条は、代理商にも、支配人と同じ競業避止義務を課しております。
(4)株式会社の取締役の場合
会社法356条1項は、取締役が①自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき、②自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき、③取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき、及び、④株式会社が取締役の債務を保証するときは、当該取締役は、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない、と定めています。
(5)合同会社等株式会社以外の会社についても、役員には、株式会社の取締役と同じ競業避止義務が課されております。
(6)元従業員の場合
元従業員には会社の事業と競争的な事業をしてはならいという義務はありませんが、最判平22.3.25は、
①元従業員乙等が、それまで勤務していた会社甲社の取引先へあいさつに行き、その際などに、取引先の一部に対して、独立後の受注希望を伝えるなど、取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用することは、格別違法とはいえない。
②しかしながら、甲社の営業秘密に係る情報を用いたり,甲社の信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行うこと、あるいは、乙らが退職したことによる甲社の営業が弱体化した状況を殊更利用した場合等は,その行為は元雇用者に対する不法行為に当たるというべきである。
③元従業員等は競業行為を行うことを、元の勤務先会社に開示する義務を当然に負うものではないから,これら競業行為を元の会社に告げなかったからといって,その競業行為を違法と評価すべき事由ということはできない。
と判示しています。