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契約書知識 6 解除条項では不十分、出荷停止規定を置くべし

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テーマ:契約書

1,解除条項
メーカーと問屋の間、問屋と小売商との間などで、継続的商品売買契約が結ばれる場合、契約書には、通常、次のような解除条項(契約書に定めた解除条項なので「約定解除条項」といわれます。)が置かれます。

(解除条項の例)
第○○条
甲乙は、互いに、相手方に次に定める事由の1つでも生じたときは、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるものとする。
①支払を停止したとき
②手形交換所の取引停止処分を受けたとき
③差押、仮差押、仮処分、競売、租税滞納処分の申立を受けたとき
④破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始若しくは特別清算手続開始の申立を受け、又は自ら申立をしたとき
⑤その他財産状態が悪化し、又は、そのおそれがあると認められる相当の理由があるとき
2 前項の解除の意思表示は、相手方の住所地または本店所在地宛に書面にてこれを行うものとする。
3 当該書面による通知が、相手方またはその代表者の所在不明等により、送達されなかった場合は、その発送の日から2週間を経過した日に、解除の意思表示が到達したものとする。

2,不安の抗弁権
 買主に、前記解除条項1項各号のいずれかに該当する事由が生ずれば、売主は、契約の解除をすることが出来ますが、それらがない場合でも、売主に買主が倒産するのではないかと不安に思うような状況が生じたとき、売主から出荷の停止や契約の解除が認められる場合があります。それは「不安の抗弁権」といわれるものです。
 裁判例によれば、不安の抗弁権は、① 取引の相手方に対し、相手方の信用に不安が生じたことを、具体的な事実を指摘して伝えて、相手方に、約束の弁済期日に売掛金が支払えることの具体的な理由の説明を求め、相手方の説明でも信用不安が残る場合には、②相手方に担保や保証人の提供を求め、それに応じてくれないときは、③出荷の停止や契約の解除をすることができる。というものです。

3,明文をもって書くこと
不安の抗弁権を、次のような文章にしておくと便利です。


(出荷停止)
第○○条
甲(メーカー)が、乙(問屋)の倒産のうわさを聞いたとき、乙の注文量が合理的に説明できない量に増えたとき、その他乙の弁済能力に疑問や不安が生じたときは、甲は乙に対し、過去甲から仕入れた商品の販売先等を含む取引の詳細が分かる会計帳簿、直近の財務諸表(試算表)や今後の資金繰り表など乙の財務状態、信用状態を示す資料の提出、および乙が弁済期に弁済をなしうる理由の説明を求めることができる。
2 前項の資料や説明によっても甲の不安が解消しないときは、甲は乙に対し、甲の乙に対するその後の取引については現金と引き替えで支払うこと、又は、当該債権を担保できる抵当権等物的担保の提供又は甲が資力があると認める者の連帯保証を請求することができる。
3 乙が、前項の甲の請求に応じないときは、甲は、乙に対する出荷を一時停止することができる。





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