新しい契約書案 改正民法に合わせて①「瑕疵」という言葉は使わない
【失敗実例④】
これも、失敗実例の紹介です。
時系列にしますと、
①地主の甲は、借地法時代から、土地を借地人乙に賃貸し、乙は、そこに自宅を建築して住んでいました。
②あるとき、乙は、甲に対し、借地上の木造住宅を壊して鉄筋コンクリート造りの貸ビルを建てたいので、許諾してほしいと、申し出ました。
③甲は、地代を値上げしてくれるなら許諾する、と回答しました。
④これに対し、乙は、地代の値上げはやむを得ないと考えているが、できるだけ値上げ幅を抑えてほしいと要請しました。
⑤そこで、甲は、乙との地代値上げ交渉を、A弁護士に委任しました。
⑥甲の代理人となったA弁護士は、乙と地代の値上げ幅について交渉を重ね、合意に達した金額で、地代の額と借地目的を変更する借地権変更契約書を取り交わしました。
⑦問題は、その翌年に起こりました。甲が乙に賃貸している借地に係る固定資産税が、数倍に跳ね上がったのです。
⑧甲からその話を聞いた弁護士は、乙と借地条件を変更する交渉をしていたとき、借地が住宅用地から非住宅用地に変わることは知っていたのですが、その場合に固定資産税が3倍から6倍の範囲で高くなるという地方税法の規定の存在を知らなかったのです。もし知っていたらその増額分を乙に負担してもらうよう、例えば「本件土地を貸ビル用地にすることによって増加する固定資産税分については、乙が負担する。」との規定を設けるべきであったのですが、税法の無知から、そこまでの配慮を欠き、依頼人に損害を与えたのです。
弁護士は、財あるところ税あり。財変わるところ、税変わる。ということを思うべきなのです。
参照
地方税法349条
・・・固定資産税の課税標準は、・・・賦課期日における価格で土地課税台帳・・・又は家屋課税台帳・・・に登録されたものとする。
地方税法349条の3の2第1項
・・・人の居住の用に供する家屋・・・の敷地の用に供されている土地(住宅用地)に対して課する固定資産税の課税標準は、第349条・・・の規定にかかわらず、当該住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の3分の1の額とする。
同条第2項
住宅用地のうち、・・・当該各号に定める住宅用地に該当するもの(小規模住宅用地)に対して課する固定資産税の課税標準は、第349条・・・の規定にかかわらず、当該小規模住宅用地に係る固定資産税の課税標準となるべき価格の6分の1の額とする。
①住宅用地でその面積が200平方メートル以下であるもの 当該住宅用地
② 住宅用地でその面積が200平方メートルを超えるもの 当該住宅用地の面積を・・・住居の数・・・で除して得た面積が200平方メートル以下であるものにあつては当該住宅用地、当該除して得た面積が200平方メートルを超えるものにあつては200平方メートルに当該住居の数を乗じて得た面積に相当する住宅用地