民法と税法 4 不動産取得税の性格
所得税法9条は、非課税所得を定めた規定です。
その17号に、「損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの」は非課税所得とされています。
この規定を受けて、同法施行令30法1項2号は、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金で、「事業所得の収入金額とされる金額」以外のものは非課税とされています。
これらの規定には、損害賠償請求訴訟を起こした場合に認められる不法行為の日からの遅延損害金については、これを非課税所得と認める定めはありません。
大分地方裁判所平成21年7月6日判決は「・・・・処分行政庁から雑所得に当たるとして更正処分等を受けたため、その取消を求めた事案で、本件和解金の実質は、不法行為に基づく損害賠償金及び遅延損害金であるところ、損害賠償金は、先物取引の売買差損等により原告の資産に加えられた損害に基因して取得した損害賠償金であり、収益補償ではないと認められるから、所得税法9条1項16号、所得税法施行令30条2号所定の非課税所得に該当し、同令30条2号括弧書、94条1項柱書、同項2号が規定する非課税所得の除外規定に該当しないといえる一方、遅延損害金は非課税所得に該当せず、・・・」と判示し、遅延損害金は、雑所得と認定しました。
なお、実務上の知恵になりますが、債務者が遅延損害金を含めて債務全額を支払う能力が無い等の理由で、全債務の一部を支払うことで残債務を免除する和解を結ぶとき、和解金は元本の一部にすべきです。和解金の中に遅延損害金があるときは、それは雑所得になり所得税の対象になるからです。