行政 2 たかが勧告と言うなかれ(行政指導でも取消訴訟の対象になる場合)
例えば、市営住宅の入居契約は、私法上の賃貸借契約です。この契約は、民法や借地借家法の適用を受けます。
しかし、例えば、自治体と企業の間で結ぶ公害防止協定は、住民の福祉と健康という公益に関係する法律効果(公法上の法律効果)が生ずる契約ですので、公法上の契約とされています。
公害防止協定は、自治体が制定している公害防止条例では手の届かない細かな約束事をする必要があるときに、結ばれますが、住民と企業の間で結ばれることもあります。
その内容は協定書の中に細かく書かれます。
この公害防止協定は、判例(最高裁平成21年7月10日判決)によって契約としての効力が認められています。
むろん、自治体は、地方自治法14 条2 項で「普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特段の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。」と規定されていますので、公害防止協定を結ぶことができるのは、法律や条例上に根拠規定が置かれているときです。
なお、公法上の契約としては、公害防止協定以外にも、建築基準法69条に規定された建築協定や、都市緑地法45条に規定された緑地協定などがあります。
このように、自治体のする契約には、私法上の契約と公法上の契約があるのです。