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民法雑学 2 赤線道

菊池捷男

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テーマ:民法雑学

1,名称のいわれ
 法務局備え付けの公図に、赤い色のついた道のような表示を見ることがありますが、これが「赤線道」です。道すなわち道路は、現在の道路法では、高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道に分けられますが(道路法3条)、赤線道は、道路法でいう道路ではありません。しかしこの道が公共物であることは、道路法上の道路と変わりません。
しかし、道路法の適用はないので、法定外公共物といわれます。

2,昔からある道路
 道路は、新たに造成される道路もあれば、昔からの道路もありますが、明治9年太政官布告第60号が発布された時にあった道路は、その重要度に応じて、国道・都道府県道、市町村道の3つに分けられました。そして、大正8年に(旧)道路法が公布された時、道路はすべて国の営造物とされました。しかし、このうち都道府県道であった道路は都道府県が、市町村道路で会った道路は市町村が引き続き管理するものとされたのですが、このときに市町村管理道路のすることから漏れ出た道路がありました。そんなに重要な道路と認識されなかったからですが、それらの道路は、いわゆる里道(あぜ道・けもの道)です。しかしながら、これらの道も立派な国有の道路ではあったのです。
つまり、この時点では、赤線道とは、道路法の適用を受けない里道を言い、国が管理所有していたものです。

3,市町村へ移管された里道と国が管理する里道
平成12年4月1日地方分権一括法が施行され、道路としての機能を残している里道は、市町村に無償譲渡されましたので、現在では市町村の所有になっています。しかし、機能を喪失してしまっている里道は引き続き国(財務局・財務事務所)が管理し、平成17年以降はその里道を占有している人に払い下げもしております。
払い下げの金額は、建前は時価ですが、実際には時価の半額程度と聞いております。

4,訴訟を起こして時効取得を主張する場合と、払い下げを受ける場合の損得
里道を長年、所有の意思をもって占有していた人は、時効によって、里道の所有権を取得している可能性がありますが、里道を時効取得したと考える人は、国に対し、訴訟を起こさなければなりません。その場合、訴訟の中で時効を援用した日に、里道を時価で取得したものとして、個人の場合は、一時所得の対象になり。法人の場合は、里道の時価が益金となりますので、特に法人の場合、長年占有してきた里道について国から時価の半額程度で払い下げを受けることができるのなら、面倒な訴訟をして時効取得を認めてもらっても、安く払い下げを受けるのと比べ、そんなに大きな利益にはならない場合もあります。

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菊池捷男(弁護士)

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