民法と税法 低額譲渡の基準となる「時価の2分の1未満の価額」の射程範囲
子が親の家に住んでいて、増改築した場合で、その建築費の精算をしなかったとき、どのような税金関係が生ずるか、といいますと、増改築が独立して経済的効用を果たし得ない場合、例えば、台所や風呂場の改修、部屋の増築などの場合は、増築部分が既存の建物に付加して一体をなしますので、子は増改築部分の所有権は取得しません。すなわち、民法242条本文が「不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。」と定めているからです。
しかしながら、民法248条は、「第242条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第703条及び第704条の規定に従い、その償金を請求することができる。」と定めていますので、子から親に対して増改築費用と同額の賞金請求権が発生します。
そして、親がそれを支払わない場合で、子がその賞金請求権を放棄したときは、その賞金債務を免除したものとして、増改築費用と同額の金銭の贈与があった(免除益の発生)ことになり、親に贈与税がかかることになります。