民法と税法 4 不動産取得税の性格
夫が妻と離婚するに際して不動産を財産分与しましたが、夫は、これを夫から妻への贈与と同じように財産をもらった妻に税金がかかると誤解しました。
そこで、夫は妻に「お前にはたくさん税金がかかることになるが、たいへんだなあ」と心配する言葉をかけました。
ところが、財産分与は、財産を譲渡した者が財産分与債務の消滅の対価として譲渡するものですので、財産をもらった方にではなく、財産を与えた方に譲渡所得税がかかることになっていますので、財産分与の後、夫に譲渡所得税が課税されました。
そこで、夫は、当初の財産分与は、自分に税金がかからないと思いしたものであり、その思いは妻にも伝えていたので、民法95条の錯誤にあたるから、財産分与は無効であるとして、妻に対し財産の返還を求める訴訟を起こし、裁判所に認められました(最判平成1.9.14)。
つまり、民法95条も規定されているところですが、錯誤で財産を譲渡するのは無効です。ですから、無効な譲渡には譲渡所得税は課されません。