商取引 3 継続的売買契約と解除
商取引は、実に、多様なものがあります。
同じ売買取引であっても、次のような取引もあり、その内容は、必要に応じ、契約書に記載されますが、下記のような取引以外にも、基本的には、契約自由の原則により、いかような内容のものでも、結ぶことができます。ただ、独占禁止法などの問題が生ずることも当然にでてきます。
1帳合い取引(ちょうあいとりひき)(別名:介入取引)
帳合い(ちょうあい)という言葉は、帳簿合わせ、の意味で、帳合い取引とは、売買契約において、実質の売主甲社と、実質の買主である丙社の間に、数量や価格を決めるが、甲と丙の間に乙を介入させて、売買契約は、甲・乙間と、乙・丙間に結び、丙は、口銭を得るという取引を言います。
例えば、ある商品について、売買契約では、甲 → 乙 → 丙 へと連続するのですが、商品は、甲 → 丙へ移転し、その間に介入する乙は、甲又は丙から一定の口銭(手数料)の支払いを受けるということになります。
この場合、乙は、売買契約の当事者ではありますが、商品を保管することなく、商品の価格変動のリスクを受けることもなく、また、特約によって瑕疵担保責任も排除でき、口銭を受けるメリットがありますが、一方で、丙が倒産するなどしたときのリスクを負うことになります。
帳合い取引は、①メーカー(甲社)と卸商(乙社)間で結ばれ、続いて、②乙社と小売業(丙社)間に結ばれる契約の中によく見られます。
2売上仕入方式
これも、帳合い取引の1つですが、大規模小売業の店頭で、卸商(甲)が小売商(乙)から一定の売り場を借受け、顧客(丙:消費者)に対し、小売業者の名前で商品を販売したときに、甲・乙間と、乙・丙間で売買契約が成立する売買取引(仕入方式)です。
例えば、デパートで、顧客(消費者)が、時計を購入した場合、顧客とデパート間に、時計の売買契約が成立するのですが、同時に、しかし論理的はその直前に、卸商とデパート間で、その商品の売買契約(仕入取引)がなされるような場合です。
3返品条件付き買取り契約
これは、小売商又は卸商が、販売のために購入した商品が、予期に反して販売できないような場合に、仕入れ先に返品できる特約を付した売買です。この取引は、アパレル業界や出版業界に多く見られますが、公正取引委員会は、返品制について、一定のガイドライン(自主規制)を設けています。