建築 自宅の建築請負契約を一方的に解除した注文主の違約金の額
1 新築住宅の瑕疵担保責任は10年間
それまで、建物の建築請負契約では、注文者と請負人の合意で、また、建物の売買契約でも、売主と買主の合意で、瑕疵担保期間を、民法が定めた期間よりも、短くする実務上の慣習がありましたが、新築住宅品質確保法(略称「住宅品確法」)が制定(平成11年)された後、建物の躯体部分と雨水の浸入を防止する部分の瑕疵については、瑕疵担保期間を10年と定め、それより短くする合意は無効になることが規定されました。
これにより、次の⑴⑵⑶が決まりました。
⑴ 瑕疵担保責任者・・・①住宅新築請負契約の請負人と、②新築住宅の売買契約の売主
⑵ 新築住宅・・・①新たに建設された住宅で、②まだ人の居住の用に供したことのないもの、かつ③建設工事の完了の日から起算して1年を経過していないもの
⑶ 瑕疵担保責任・・・10年間
2資力確保措置制度
瑕疵担保責任があっても、瑕疵が発見された場合、責任者が無資力であるときは、注文主や買主は救われません。そこで、同法は、瑕疵担保責任を負う者に、次のような資力確保措置を義務付けました。
⑴ 資力確保の方法・・・①瑕疵担保責任保険に加入、又は②保証金を供託
⑵ 資力確保義務者・・・①建築請負契約では建設業法に基づき許可を受けた業者、及び②売買契約では宅建業者
⑶ 対象になる新築住宅・・・①注文住宅、②建て売り住宅、③マンション(マンションの中に住宅ではない部分があっても、1戸でも住宅があると、マンション全体が住宅として扱われます)、④賃貸用住宅、⑤公営住宅、⑥グループホーム
⑷ 資金確保期間・・・10年間(瑕疵担保期間に相応)
⑸ 瑕疵担保責任の追求方法・・・①保険に対しては、注文者や買主からの直接請求が認められる場合があります。②供託金に対しては直接還付請求が出来ます。
⑹ 注文者・買い主から見た、保険と供託の違い・・・保険の方がメリットは大きい。
その理由は、①保険の加入時には、保険法人が、不同沈下その他瑕疵の発生を防止するために統一的に作った設計施工基準に基づき、基礎配筋時、躯体工事完了時、に、現場検査をするので、手抜き工事を阻止しやすい。②保険金は建築業者や売り主が倒産しなくても支払われる(責任額の8割支払)ので、建築業者等の負担感は少なく、丁寧な補修が期待できる。③弁護士会が運営している住宅紛争審査会で専門的な紛争処理を依頼できる。の3つです。
⑺ 瑕疵担保責任保険の問題・・・瑕疵担保責任額のすべてが補てんされるものではありません。保険限度額(2000万円)があり、また保険割合(80%)があります。それ以上の保険を望む場合は、オプションで限度額を増額すること(5000万円まで)は可能です。ただ、その分、建築費や売買代金は高くなります。