使用者のための労働問題 普通解雇と懲戒解雇の違い
1 労働基準法37条1項
割増賃金は、「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」に割増率を乗じて計算されます。
2 労働基準法施行規則19条及び平成12.3.8基収78号通達
「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額」は、
①時間給の場合は、その金額
②日給の場合は、一日の所定労働時間数で除した金額
③週給の場合は、週における所定労働時間数で除した金額
④月給の場合は、月における所定労働時間数で除した金額
⑤出来高払制の場合は、その金額を賃金計算期間の総労働時間数で除した金額
⑥年俸制の場合は、賞与を含めた年俸額の1/12を月における所定労働時間数(月によって異なる場合には、1年間におけるに1か月平均所定労働時間数)で除した金額
になります。
これにより、時間外割増賃金は、(労働契約に基づく1時間当たりの単価)×(時間外労働時間)×(労働基準法に基づく割増率)になりますが、小数点3位以下の金額は切り上げます(切り捨てではないので注意が要ります)。
3 基準賃金(労働基準法37条5項及び労働基準法施行規則21条)
賃金計算をする場合、次の手当は、賃金の中には含まれません。
・家族手当、
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
4 基準賃金から除外される各種手当ては、実質的に判断される
・家族手当等の名目であっても、家族の有無、数に関係なく一律に支給されるもの
・通勤費用とは無関係に支給される通勤費用
・住宅に要する費用ではない住宅手当
は、基準賃金に含まれます(通達)
・貨物運転手に支払われる「ワンマン手当」も同じです(裁判例)。
5 割増率
2割5分増しですが、1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対する賃金割増率は5割増しになります。
ただし、経過措置(労働基準法法附則138条)により、中小事業主の事業については、当分の間、5割増の規定は適用されません。この場合の、「中小事業主」とは、その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいいます。なお、この資本金等要件と人数要件については、両方に該当する必要はなく、そのいずれかに該当すれば「中小事業主」に該当します。
なお、それ以外の中小企業であっても、「厚生労働大臣が定める法定時間外労働の限度時間(原則1ヶ月45時間、1年360時間)」を超える法定時間外労働について、2割5分増しを超える賃金割増率を時間外労働の労使協定で定めた場合は、その協定割増率が適用されます。