建築家の権利① 著作権は,設計図にあるも,一般建築物にはなし
1法2条1項1号
著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。範囲はすこぶる広い。
2思想・感情を創作的に表現したもの
この要件は、著作者の個性が何らかの形で現れていれば、認められる。幼児の描いた絵であっても、著作物である。
3文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属する表現
コンピューター・プログラムも、これに該当する。
実用新案権や商標権などの対象になっている表現も、著作物である場合が多いが、認定は微妙である。下記の事件(ぺんたくん事件)は、①がぺんたくんの内容、②は著作物性を否定、③は著作物性が認められる余地を書いた判決
東京地判平1.3.27は、
①「ぺんたくん」という名の知育玩具は、3才から6才の幼児に言葉の獲得や平仮名文字の認識等をさせるに適当な玩具を作るという目的で考案されたものであって、1個のブロックに正方形の五角面があれば、平仮名50音の伝統的な配列である「あ行」、「か行」等の各行のうちの一行を1個のブロックに表現することができ、結果として、18個の五角筒柱があれば、濁音、拗音、促音等を含めた平仮名75文字をすべて表現することができること及び五角筒柱の筒面以外の二面に着脱、回転等の構造を持たせれば、平仮名文字を自由につないで言葉が作れること等の基本案に基づいた玩具である。
②「ぺんたくん」は、五角筒柱の各ブロックの上端面と下端面とをいわゆるスナップ機構とし、これにより、ブロックを着脱かつ回転自在に結合して、文字を組み合わせて言葉を作ること、絵を組み合わせて迷路を形作ること、絵を組み合わせて完全な一つの絵にすることができるものであるところ、それ自体は、あくまでも「ぺんたくん」の形状及び構造が奏する機能であって、技術的思想の体現とみることはできても、著作権法2条1項号にいう「表現」ということはできない。
③しかし、五角筒柱のブロックに動物や迷路の絵の各部分を描き、また、数字や動物の絵などで数を表示し、更に、これらを一つのセットにした点は、その表現内容に照らし、右法条にいう「思想又は感情を創作的に表現したもの」とみる余地が存するものと認められる。
と判示。