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著作権 16 編集著作物(職業別電話帳、美術年鑑、商品カタログ等)

菊池捷男

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テーマ:著作権

1定義
法12条1項は、「編集物(データベースに該当するものを除く)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する」規定する。
⑴ 素材が単なるデータであるため、素材には著作権が生じない場合でも、その選択と配列に創作性が認められると、編集著作物として、編集著作権が発生する。
例えば、電話番号という単なるデータを職業別に配列したNTTタウンページは、編集著作物である(東京地判平12.3.17)。
⑵ 素材がそれ自体、著作物である場合も、編集著作物になる。例えば、美術全集などである。
むろん、編集著作物が創作されても、「編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。」(法12条2項)ことはいうまでもない。つまり、美術年鑑を作った場合、それを作った者に編集著作権が生じても、素材である美術に著作権を有する者のその著作権はそのまま認められるということである。

2競合他社のカタログの編集方法を真似て、自社商品のカタログを作っても、著作権及び編集著作権の侵害ではない
大阪地判平7.3.28は、
甲社の商品のカタログの作製方法を真似て、乙社が乙社のカタログを作った事件で、
⑴ 写真は著作物になるか?については、
写真が、「被写体の選定、写真の構図、光量の調整等に工夫を凝らし、撮影者の個性が写真に現れている場合には」著作物になる。
⑵ カタログの中の説明文については、「使用方法をわずか60字程度で表現したものに過ぎないから、これをもって著作物とまでいうことはできない。」と著作物性を否定。
⑶ カタログが、全体として編集著作物に該当するか?については、
「それぞれ一章にまとめる等の工夫・・各章の冒頭部分には当該章において紹介する商品の機能、用途、特質、商品開発の基本思想をまとめた短文を配し、個々の商品の紹介部分にも商品を実際に使用する際の使用方法や留意点について説明文を付していること、等から、本件カタログは、編集物でその素材の選択、配列によって創作性を有するから、編集著作物に該当する」と判示。
⑷ 被告が、甲社の写真を見て、同じ撮影方法で、乙社の商品を撮影した行為が、甲社の写真の複製になるかについて、写真の複製とは、甲社の写真そのものを有形的に再製することをいい、甲社の写真と同一の被写体を同様の撮影方法を用いて撮影した写真は、写真の複製になるとはいい難い。まして、甲社の写真の被写体と乙社の写真の被写体は別のものであるから、乙社の写真が、甲社の撮影方法を用いているからといって、複製であると解する余地はない。
⑸ 編集著作物である被告カタログを真似て作ったカタログは、甲社の編集著作権を侵害するかについて、本件カタログには甲社の商品の写真及び説明文が、被告カタログには乙社商品の写真及び説明文が掲載されているところ、編集著作権においても、保護の対象とするのは素材の選択、配列方法という抽象的なアイデア自体ではなく、素材の選択、配列についての具体的な表現形式であるから、素材において本件カタログと全く異なる被告カタログが本件カタログの編集著作権を侵害するものであるということはできない、と判示。

結論は、被告のカタログは、原告の著作物の複製〔又は翻案〕物に当たらない。

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菊池捷男(弁護士)

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