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著作権 14 連載漫画の著作権の保護期間(法人の場合)

菊池捷男

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テーマ:著作権

1 連載漫画の登場人物の漫画は、最初に公表されたときから、著作権の存続期間が始まる

自然人が著作権を有する場合の著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まり(法52条1項)原則として、著作者の死後50年を経過するまでの間存続する(法52条2項)が、法人の場合は、法53条で、公表後50年経過した時まで存続することになるので、法人が著作権を有する著作物については、いつ公表されたことになるのかが問題になる。

最判平9.7.17はポパイネクタイ事件で、
連載漫画においては、後続の漫画は、先行する漫画と基本的な発想、設定のほか、主人公を始めとする主要な登場人物の容貌、性格等の特徴を同じくし、これに新たな筋書を付するとともに、新たな登場人物を追加するなどして作成されるのが通常であって、このような場合には、後続の漫画は、先行する漫画を翻案したものということができるから、先行する漫画を原著作物とする二次的著作物と解される。そして、二次的著作物の著作権は、二次的著作物において新たに付与された創作的部分のみについて生じ、原著作物と共通しその実質を同じくする部分には生じないと解するのが相当である。けだし、二次的著作物が原著作物から独立した別個の著作物として著作権法上の保護を受けるのは、原著作物に新たな創作的要素が付与されているためであって(同法2条1項11号参照)、二次的著作物のうち原著作物と共通する部分は、何ら新たな創作的要素を含むものではなく、別個の著作物として保護すべき理由がないからである。
と判示するところである。

2法人が著作権を有する場合の著作権の保護期間は最初の漫画を描いた時から始まる
同最判は、続ける。
 そうすると、著作権の保護期間は、各著作物ごとにそれぞれ独立して進行するものではあるが、後続の漫画に登場する人物が、先行する漫画に登場する人物と同一と認められる限り、当該登場人物については、最初に掲載された漫画の著作権の保護期間によるベきものであって、その保護期間が満了して著作権が消滅した場合には、後続の漫画の著作権の保護期間がいまだ満了していないとしても、もはや著作権を主張することができないものといわざるを得ない。


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