クイーン・エリザベス号乗船記④ ドレスコード
それ以後、その会社と顧問弁護士との打ち合わせには、A子さんは欠かせぬ存在になったこと、言うまでもありません。その結果、A子さんは、会社の経営や技術開発、取引のすべての分野で、社長や幹部とは密接な連絡を取り合い、会社の情報を得、法的なアドバイスもすることになりました。しかし、それにとどまらず、取締役会へも出席することになりました。法令遵守の社是を生きたものにするために、インハウスローヤーの取締役会出席は、観念上必要と考えたからではなく、現実の必要性から、実に早い時期から実現したのでした。
A子さんの勤務する会社は、中小企業ですが、従業員数は1000名近いものでした。その中で、まだ20才代の女性社員が、取締役会にまで出席し、意見を求められるという現実に一番驚いたのはA子さんであったようですが、インハウスローヤー3年目に入ったA子さんは、今、社長の片腕として、なくてはならぬ存在になっているのです。