相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記
Q 遺産分割が成立し、A宅地を私が取得したのですが、A宅地の名義は被相続人である父のままである場合、その登記はどうすれば良いのですか?
A
1単独申請で「相続」を原因として登記をする
不動産の名義が被相続人である場合は、その不動産を遺産分割で取得した相続人が、単独で、被相続人の名義からその相続人の名義に移転登記ができます。
「登記の目的」は「所有権移転」、
「原因」は「平成○○年○○月○○日相続」(なお日付は被相続人が死亡した日)、
「相続人」は、その不動産を取得することが決まった相続人、
「添付書類」は①登記原因情報、②住所証明書、③代理権限証書です。
まお、登記原因証明情報としては、相続を証する戸籍・除籍等の謄本のほか、次の、遺産分割のあったことを証する書面を添付することになります。
2遺産分割を証する書面
遺産分割で不動産を取得したことを証する書面とは
⑴ 遺産分割協議書+印鑑証明書(取得相続人以外の相続人のもの)
⑵ 遺産分割協議証明書+印鑑証明書(取得相続人以外の相続人のもの)
⑶ 調停調書の謄本
⑷ 審判書の謄本(確定証明書付き)
補足説明
・⑴⑵の印鑑証明書は、相続があったことを証する情報の一部として提供するものなので、発行後3ヶ月以内のものである必要はありません。
・戸籍謄本等も、被相続人が亡くなった後の日付のものなら時期を問いません。
・⑴⑵の遺産分割協議書や遺産分割協議証明書が公正証書で作成されたものであるときは、印鑑証明書は必要ありません。
・⑵の遺産分割協議証明書の例文は次のとおりです。
遺産分割協議証明書
平成○○年○○月○○日○○市○○町○丁目○番○号凸山太郎の死亡により開始した相続における相続人である凸山花子、凸山一郎および凹川一子の3名は、平成○○年○○月○○日全員で遺産分割協議をした結果、被相続人の遺産に属する後記不動産は、○○市○○町○丁目○番○号凸山花子が単独取得したことを証明する。
平成○○年○○月○○日
○○市○○町○丁目○番○号 相続人 凸山一郎 (印)
○○市○○町○丁目○番○号 相続人 凹川一子 (印)
・⑶⑷の調停調書・審判書で相続登記をする場合は、原則として、相続を証する戸籍謄本等は必要ありません。家庭裁判所が相続関係の調査をしているからです。