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建物賃貸借契約における敷引特約は有効

2012年8月29日 公開 / 2017年9月8日更新

テーマ:不動産法(賃貸借編)

コラムカテゴリ:法律関連

最判平23.7.12は、敷引特約は、敷引金の額が賃料の額等に照らし高額に過ぎるなどの事情があれば格別,そうでない限り,有効だと、判示しています。
この件は、敷金100万円のうち60万円の敷引を有効とした判例です。
敷引き額は、賃料の3.5ヶ月分に相当する金額で、一見高いように見えますが、賃借人の居住期間の1ヶ月当たりにすると8、333円であり、それは当初の1ヶ月の賃料(共益費込み)の4.76パーセント,更新により改定後の賃料(共益費込み)の4.90パーセントにすぎないものであり、高すぎるものではないと判示しています。
なお、最判平17.12.16が、敷引特約を無効とした判例と誤解されている向きがありますが、この判例は、通常損耗費を賃借人が負担する旨の明確な合意が存しないにもかかわらず,賃借人に返還が予定されている敷金から通常損耗費相当額を損害金として差し引くことは許されないという判例でして、当初から賃借人に返還することが予定されていない敷引金を通常損耗費に充当することを否定する趣旨のものではない、とこれは最判平23.7.12の補足意見で指摘されているところです。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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