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菊池捷男

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菊池捷男(きくちとしお)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

コラム

相続相談 23 遺産である土地に無償で家を建て営業をしてきた相続人の問題

相続相談

2012年8月3日 / 2012年8月15日更新

Q 私は、父から無償で土地を借りて、そこに建物を建て、店として使ってきたのですが、その父が先日亡くなり、兄と遺産分割協議を始めました。父の土地は、私が使用しているので、私が相続することは兄も承諾してくれているのですが、兄は、この土地を更地の価格でしか評価しません。私には父の土地に対する使用借権があるのではありませんか?その場合は、その評価額はいくらくらいですか。また、その評価額は、私の財産の価額になり、土地の価額は、私の使用借権の価額を引いた金額になるのではありませんか?

A あなたには、お父様の土地に対する使用借権が認められる可能性があります。
東京高決平9.6.26の例は、建物で園芸店を経営していた相続人の例ですが、土地使用借権の評価額を土地の価格の3割であるとしています。
この裁判例の場合は、父が子に対してした土地使用借権の設定を特別受益(生計の資本としての贈与)であると認定しましたが、同時に、父から子に特別受益の持戻しを免除する意思表示が黙示的にあったものとしましたので、この件の特別受益者はその分他の相続人より有利な扱いを受けていますが、事案によっては、使用借権の評価を0とした裁判例や、土地の価格の5割とした裁判例もあります。。

あなたの場合も、使用借権の評価がなされる可能性はあると思いますが、その場合は、その評価額は土地の価額から控除され、その権利の価額を控除した金額が土地の価額になり、それを前提に、遺産分割をすることになります(前記東京高判)。
しかしながら、遺産分割は、あなたとお兄様の具体的相続分で分け合うことになりますが、その具体的相続分を算出する過程で、あなたの使用借権の価額は特別受益として持戻しの対象になる可能性があり、結果的に、使用借権の評価額にかかわらず、それがあなたに有利な遺産分割にならない場合もありえます(特別受益の持戻し免除の意思表示があったとされる場合は別)。特別受益や具体的相続分については、「相続ノート」第2章で詳述しています。

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