相続と登記 9 遺留分減殺請求と登記
Q 私は、昨年亡くなった内縁の夫の特別縁故者として、相続財産法人から、内縁の夫の相続財産全部の分与を受けました。評価額にして4000万円ほどになります。
この場合、
①私は、相続財産法人から、財産の贈与を受けたことになるのですか?
②そのときは、どの程度の税金を納めなければならないのでしょうか?
A
①特別縁故者が、相続財産法人から、相続財産の全部又は一部を分与されたときは、被相続人からその財産の遺贈を受けたものとされ、相続税法の適用を受けることになります(相続税法4条)。ですから、贈与ではありません。
②あなたの場合、内縁の夫の相続財産法人から分与を受けた相続財産は、内縁の夫から遺贈により取得したものとみなされますので、その財産の価額が課税価格になります(同法11条の2)。
しかし、相続税を課す場合は、まず、課税価格から、基礎控除額が控除されます。
基礎控除額が課税価格以上であれば相続税はかかりません。
基礎控除額の計算式は、5000万円+相続人の数×1000万円です(同法11条・15条)。
あなたの場合は、相続人はいないので、基礎控除額は5000万円ということになりますので、これを課税価格から控除すると、残りはなく、相続税は課されないことになります。
したがって、相続税額は0ということになります。
課税価格が基礎控除額を超えない場合は、申告の必要もありません。
もし、相続財産法人からの相続財産の分与が贈与であるとされると、4000万円から贈与税の基礎控除額110万円を引いた残りの金額3890万円に限界税率50%を掛けて225万円の控除額を引いた1720万円の贈与税がかかりますので、それと比較すると、随分有利になります。