コラム
間違えやすい法令用語 40 税率・比例税率・累進税率(単純累進税率・超過累進税率)・段階税率・限界税率・実行税率
2012年7月19日 公開 / 2012年8月17日更新
税率に関するこれらの言葉は、一般の人には馴染みが薄く、これらの言葉の違いを厳密に知る意味はほとんどないものと思いますが、弁護士の場合、この違いを知っておくのは有用です。
1 税率
税率とは、税額を算出するために、課税標準に対して適用される比率を言い、課税標準が金額ないし価額で定められている場合は、百分率・万倍率等で表示されます。
2 比例税率
比例税率とは、課税標準の大小に関係なく、その一定割合を適用するときの比率を言い、固定資産税(1.4%)や消費税(地方消費税を合わせて5%)に見られます。
3 累進税率(単純累進税率・超過累進税率)・段階税率・限界税率
累進税率とは、課税標準となる金額ないし価額が増加するに応じて累進して定められる税率を言います。
そのうちの単純累進税率とは、課税標準が大きくなるに従って、その全体に対して単純に高率を適用する税率を言い、
超過累進税率とは、課税標準を多数の段階に区分して、課税段階毎に、順次高くなる税率を適用する税率を言います。
所得税や相続税は、この超過累進税率が適用になっております。
所得が多くなる、あるいは取得する資産が多くなると、担税力が大きくなる、という理由からです。
なお、超過累進税率が適用になる場合、各課税段階に適用になる税率を「段階税率」と言い、当該課税標準に適用になる段階税率のうちの最上位の税率を「限界税率」と言います。
4 実行税率
実効税率とは、各種の租税特別措置がなかったとした場合の税率を言います。
5 標準税率・制限税率
これらは、地方税に関して用いられる概念です。
標準税率というのは、「地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上その他の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率」(地方税法1条1項5号)を言い、制限税率とは、「標準税率を超える税率を課す場合これを超えて課税してはならない税率」を言います。
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