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相続相談 1 譲渡制限株式を相続税の物納対象にできるか?

2012年6月19日 公開 / 2012年8月15日更新

テーマ:相続相談

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 相続 手続き相続税

Q
 相続した財産の中に、同族会社の譲渡制限株式があるが、会社の資産内容が良いために評価額が高く、その保有株式だけで数億円になる。しかし、そんな株を持っていても、その株式数だけでは会社を支配するに足りず、また、取締役でもないため役員報酬はもらえていないし、おまけに、会社も無配当であるために、無価値に等しい。そんな株式でも高い評価になり相続税が1億円を超えるが、そんな納税資金はない。税務当局に、その株式を物納できるか?

A
その株式が、譲渡制限株式であれば、物納できません。
会社の定款を変更して譲渡制限のない株式にすれば、物納の適格は生じますが、実際に物納できるかどうかは、他の要件も満たしている必要がありますので、ケースバイケースになります。
(解説)
相続税法41条は、
税務署長は、
① 相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合で、
②納税義務者の申請があるときは、
③管理処分不適格財産でない株式なら、
④ 納付を困難とする金額を限度として、物納の許可をすることができる。
 
と定めています。しかし、譲渡制限株式は、相続税施行令18条2号で、管理処分不適格財産とされていますので、③の要件を満たしません。
ですから、物納の対象にはなりません。
定款を変更して、譲渡制限を外すと、物納適格株式になります。

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この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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