間違えやすい法令用語 28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」
切絵図と公図は、法令用語ではありません。地図は法令用語です。
これらは、いずれも法務局に備え付けられているものです。
1 地図
地図とは、“14条地図”と呼ばれる正確な図面です。
すなわち、不動産登記法14条1項は「登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。」と規定し、2項は「前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。」と規定しています。
これが地図ですが、この地図は、2で説明する公図と違って、現地復元性(地図を現地の状況に合わせると境界が特定できるという特徴)のあるものです。
法14条地図の縮尺は250分の1,500分の1,1000分の1,2500分の1です。
地図が、すべての土地について作製されているかというとそうではありません。おそらく、日本全国を網羅するために必要とされる地図の数は、数百万枚もの膨大なものになると思われますが、残念ながら、そこまで地図は整備されていません。
そこで、法務局では、地図のないところでは、次の公図が利用されることになります。
2 公図
不動産登記法14条4項は「第1項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。」と規定しています。ここでいう「地図に準ずる図面」のことを公図といいます。公図は、地図とは異なり、現地復元性はありません。
公図の多くは、旧土地台帳施行細則第2条の規定に基づき作製された地図(「旧土地台帳附属地図」といわれます。)のことをいいます。
公図の縮尺は、300分の1又は600分の1のものがあります。
公図は、もともとは税務署で課税の必要上作製していたものを、法務局に移管したもので、精密な測量によるものではないために、正確とは言い難いものがあります。ですから、測量の誤りを含んだものがあります。むろん、現地復元性はありません。
公図も地図も、不動産登記法120条1項により、閲覧や写しの交付請求が認められております。
3 切絵図
切絵図とは、公図のことです。
公図が手書き(墨を使ったもの)で描かれていた時代は、土地につき分筆がなされると、公図の該当土地の上に薄い別の紙を貼り付け、その紙に土地の形状を描きそれに分筆線と地番を書き込み、合筆のときは、公図上の該当の土地の上にやはり薄い紙を貼り付け、合筆後の1筆図を描き、そこに合筆後の地番を書き込む、という作業をしながら、公図を更新していくものでした。このような公図は、“切り絵図”というにふさわしい切り図であり、貼り図でしたが、コンピューターで作製された公図は、更新もコンピューターでしますので、切絵図のような切り貼りしたものではありません。
参考までに、同じ公図ですが、切絵図時代のものとコンピューター時代のものを下記に紹介しておきます。