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契約条項 1 反社会的勢力条項

菊池捷男

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テーマ:契約書

近時、取引先から「反社会的勢力排除に関する覚書」の締結を求められることが多くなってきました。
これは、内閣総理大臣が主宰する犯罪対策閣僚会議が、2007年6月19日付で「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公表し、企業に対して、暴力団を始めとする反社会的勢力との関係遮断についての取り組みを一層推進する必要性を示したことに起因しているものです。

そこで、この条項について説明します。

1 覚書形式で結ぶ場合
表題を「反社会的勢力の排除に関する覚書」とする。単に「覚書」といったものは避ける。

2契約書に盛り込む場合

第1条(反社会的勢力等ではないことの確認事項)
  甲及び乙は,本契約締結時及び将来にわたって相互に,自己又はその代表者,責任者若しくは実質的に経営権を有する者が,暴力団,暴力団員,暴力団関係者,総会屋その他の反社会的勢力(以下「反社会的勢力等」という。)ではないことを確約する。
2前項による確約が,本契約における重要な要素であることを相互に確認する。

第2条(契約解除事由)
  甲及び乙は,相手方又は相手方の代表者,責任者若しくは実質的に経営権を有する者が次の各号のいずれかに該当した場合は,何らの通知・催告を要せず,直ちに本契約の全部又は一部を解除することができる。
(1) 反社会的勢力等であるとき,又は反社会的勢力等であったことが認められるとき。
(2) 反社会的勢力等への資金提供を行う等密接な交際があるとき,またはその活動を助長する行為を行ったとき。
(3) 自ら或いは第三者を利用して,相手方に対し,詐術,暴力的又は脅迫的言辞を用いたとき。
(4) 自ら或いは第三者を利用して,相手方の名誉・信用を毀損し,又は毀損するおそれのある行為を行ったとき。
(5) 自ら或いは第三者を利用して,相手方の業務を妨害した場合,又は妨害するおそれのある行為を行ったとき。
(6) 本契約の履行のために契約する第三者が,前各号のいずれかに該当するとき。
  
第3条(損害賠償義務に関する確認事項)
  甲又は乙が,前条に基づいて,本契約の全部又は一部を解除した結果により,甲又は乙に損害が生じたときは、相手方に対し、損害賠償の請求が出来る。しかし、相手方に損害が生じたときといえども,甲又は乙はこれによる損害は一切賠償しない。

第4条(反社会的勢力の認定に関する事項)
 前3条の反社会的勢力であるかどうかは、○○県警察、○○県暴力追放運動推進センターその他これに準ずる機関の認定、通告、勧告等による。

3 下請負契約のケース

第1条(反社会的勢力排除に関する表明・確約)
(1) 乙又は乙の下請負者(下請負が数次にわたるときはその全てを含む。)は、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会的勢力(以下、まとめて「反社会的勢力」という)のいずれでもなく、また、反社会的勢力が経営に実質的に関与している法人等ではないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを確約する。

第2条(反社会的勢力排除に関する契約解除)
(1) 甲は、乙又は乙の下請負者及びその代表者、責任者、実質的に経営権を有する者(下請負が数次にわたるときはその全てを含む)が次の各号の一に該当する場合、何らの催促を要さずに、本契約を解除することができる。
(イ)暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会勢力(以下、まとめて「反社会的勢力」という)に属すると認められたとき。
(ロ)反社会的勢力が経営に実質的に関与していると認められるとき。
(ハ)反社会的勢力を利用していると認められるとき。
(ニ)反社会的勢力に対して資金等を提供し、又は便宜を供与するなどの関与をしていると認められるとき。
(ホ)反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を有しているとき。
(へ)自らまたは第三者を利用して、甲又は甲の関係者に対し、詐術、暴力的行為、又は脅迫的言辞を用いたとき。
(2) 甲は、前項の規定により、個別契約を解除した場合には、乙に損害が生じても甲は何らこれを賠償ないし補償することは要せず、また、かかる解除により甲に損害が生じたときは、乙はその損害を賠償するものとする。賠償額は甲乙協議して定める。
(3)  反社会的勢力であるかどうかは、○○県警察、○○県暴力追放運動推進センターその他これに準ずる機関の認定、通告、勧告等による。

第3条(反社会的勢力排除に関する通報・報告)
(1) 乙は、乙又は乙の下請負者(下請負が数次にわたるときは、その全てを含む。)が暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋その他の反社会的勢力(以下、まとめて「反社会的勢力」という)による不当要求又は工事妨害(以下、「不当介入」という。)を受けた場合には、断固としてこれを拒否し、又は下請負者をして断固としてこれを拒否させるとともに、不当介入があった時点で、速やかに甲にこれを報告し、甲の捜査機関への通報及び発注者への報告に必要な協力を行うものとする。
(2)乙が正当な理由なく前項に違反した場合、甲は何らの催促を要さずに、個別契約を解除することができる。

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菊池捷男
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