コラム
不動産 12 下水管の勾配不足・崖面に擁壁がないこと
2011年9月15日 公開 / 2012年8月17日更新
1勾配不足は隠れた瑕疵にあたる
東京地裁平成20.12.19判決は、土地建物を購入し使用を開始した後、下水管が詰まり、排泄物等が滞留して臭気を発するという問題に悩まされるようになった買主が、建築士に調査をしてもらったところ、下水管の、汚水枡Aの排水管の入り口と排水枡Bの排水管の出口の間の勾配が、日本建築設備協会の仕様書では最少1/100、その市の下水道条例では2/100であるのに、わずか0.3/100しかなかったことが分かったので、これを隠れた瑕疵にあたるとして、損害賠償の請求をした事案ですが、判決は、これは隠れた瑕疵にあたると認定して、損害賠償の請求を認めました。
2崖面に擁壁がないこと
前記東京地裁平成20.12.19判決は、本件土地が宅地造成工事規制地域にあるため、施行令6条1項1号で定める擁壁を設置しなければならないのに、その崖面に擁壁がない事案でしたが、これも「瑕疵」にあたる、と認定しました。
しかしながら、①買主が過去に収益目的で不動産を購入していること、現地を視察していること、売買契約書には税金対策を考えて虚偽の代金額を記載させたこと等から、買主は不動産取引について素人とはいえないこと、②重要事項説明書には本件土地が宅地造成工事規制地域にある旨の記載があることを理由に「隠れた瑕疵」には当たらないと判示しました。
これも事例として紹介します。
関連するコラム
- 不動産 中間省略登記ができない理由 2014-02-09
- 不動産 農地を買って仮登記している場合の権利と時効 2014-03-12
- 不動産 オフィスビルの場合は,通常損耗の原状回復義務があるのか? 2014-07-16
- 不動産 マンション外壁のタイルが剥離したときの責任問題 2014-01-29
- 不動産 公図の歴史 2014-03-02
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。