コラム
間違えやすい法令用語 29 の○日前に
2011年8月29日 公開 / 2016年7月28日更新
これは期間を逆算するときの用語です。
例えば、会社法299条は「株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。」と規定していますが、この場合の「株主総会の日の二週間前」はいつから数えるのでしょうか?
その数え方については、直接の規定はありません。
民法138条ないし143条の期間に関する規定は、将来に向かう期間に関する規定だからです。
しかしながら、過去にさかのぼる場合の期間の計算方法についても、これらの規定が類推適用されると解されていますので、民法140条の初日不算入の原則が採用されることになります。
また、民法141条の「期間は、その末日の終了をもって満了する。」という規定の適用も受けることになります。
そのため、旧商法の時代の判例ですが、「株総会の招集通知書を発した日の翌日から起算して会日までの間に少なくとも二週間の日数を存することが必要だと判示しているのです(大審院昭和10年7月15日判決)。
すなわち、例えば、平成23年8月31日に株主総会を開く場合は、遅くとも、株主総会会日の前日である8月30日から数えて2週間目である8月17日の前日である8月16日には、株主総会招集通知書を発送しておく必要があるのです。
参照:
民法140条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、・・・
民法141条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
関連するコラム
- 間違えやすい法令用語4 許可・特許・認可・免許 2011-06-05
- 法令用語 「ないし」や「乃至」は使わず,「から・・・まで」を使う。 2014-07-07
- 間違えやすい法令用語1 「施行する」・「適用する」 2011-06-02
- 間違えやすい法令用語 25 以前・前・以後・後 2011-08-23
- 間違えやすい法令用語 28 「・・・の日から○日間」・「・・・の日から起算して○日間」 2011-08-28
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。