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間違えやすい法令用語 20 責任(責め)

菊池捷男

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テーマ:法令用語

1 責任の意味
「責任」という言葉は、一般には、自己の行為の結果について、一定の不利益又は負担を負わされるという意味で使われますが、法律上は種々の意味で使われます。

2 「損害賠償義務」の意味で使われる場合
民法709条は「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定していますが、
ここでいう「賠償する責任」とは「賠償する義務」のことです。

3 故意又は過失という「有責事由」の意味で使われる場合
民法415条は「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。」と規定していますが、
ここでいう「責めに帰すべき事由」とは「故意又は過失」を意味します。

4 刑事上、「刑罰を受けなければならない法的地位」の意味で使われる場合
憲法39条は「何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。・・・」と規定していますが、
ここでいう「責任」は「刑罰を受けなければならない法的地位」を意味します。

5 法的責任ではない、「精神的責任」の意味で使われる場合
憲法12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定していますが、
ここでいう「責任」は法的効果の伴わない責任でいわば「精神的責任」というべきものになります。

6 「政治責任」の意味で使われる場合
憲法66条3項は「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と規定していますが、ここでいう「責任」は「政治責任」というべきものになります。

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菊池捷男
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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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